科学系

QtiPlotで実験データを解析して、関数でFittingしてみる

QtiPlotというのは、主に実験科学系の分野での実験データの解析用に作られたグラフ作成ソフトです。雰囲気としては、gnuplotやMaximaのようなグラフ作成ソフトにエクセルのような表計算機能をのせたような感じです。
基本的に、gnuplotなどとは違い、「数式からグラフを描画する」と言うよりは、「得られた実験データを何かしらの関数型で近似し、その関数型のパラメーターや実験値との誤差などを計算する」というような目的で使われるソフトです。

現在は、フリー版と有料版があり、フリー版ではExcelやLibre Office Calcでのフォーマットでの書き出しなどの一部機能が制限されていますが、学生実験のレポート等を書く程度であれば充分使えるでしょう。研究機関などで使われているところもあるようなので、本格的な実験、研究にも使えるようです。(もちろんその場合には、内部的にどのような処理をしているか、値はどの程度信用できるかといったことへの理解は必要だと思われます)


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DNAの熱変性の時間変化を、expの式で近似したもの。直線以外でもFitting(近似)できるのがExcelなどとの大きな違い。同様のことはgnuplotでもできるが、GUIベースなのでこちらのほうがとっつきやすい


QtiPlotの特徴

QtiPlotの特徴として、

・様々な関数型でのFittingが可能。自分で任意の関数型を定義することもできる

・Excelのようなセル内部での計算機能があり、QtiPlot内で実験データの編集・計算が可能

・MultiPeakでのFittingが可能

・EMF, EPS, PS, PDF, SVG, BMP, JPG, PNG, TIFF,など、多数の形式でのグラフ画像の出力が可能

・GUIベースなので、GnuPlotなどよりもとっつきやすい

等が挙げられます。おそらくこの手のソフトではフリーの中ではもっとも機能が充実しており、使いやすいのではないでしょうか。


インストール方法

Ubuntuであれば、公式のリポジトリにパッケージが用意されているのでソフトウェアセンターから検索すればインストールすることができます。

Win,Macの場合は、公式ページにバイナリパッケージが用意されているので、そこからダウンロードしてインストールしましょう。


QtiPlotでのデータのFitting方法

QtiPlotは高機能なので、すべての使い方をここで書くのはちょっと無理です。なので、おそらく最も使うであろうFitting機能の使い方について書こうと思います。

方法

①データの取り込み

まず、解析したいデータを読み込みます。大概の場合、実験データはCSV形式のファイルか、datファイル、Textファイルの形式で書き出されていることがほとんどだと思います。このような単純なファイル形式の場合は、下の図のように「ファイル」→「Import」→「Import ASCII・・・」を選び、適切な変換形式を指定してインポートしましょう。
Excel形式やLibreOfficeのODF形式からの読み込みもできるようです。


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②グラフのプロット

データが取り込めたら、とりあえずグラフをプロットしてみることにしましょう。下のようにプロットしたい領域を全選択し、「Plot」メニューからPlotします。ちなみにこのグラフのX,Yを入れ替えたり、別のパラメータにしたい場合は、表の「1X]や「2Y」と書かれたところを右クリックしてやることでその列のパラメーターを色々と設定することができます。


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③Fitting

さて、グラフをプロットできたので、Fittingして見ることにしましょう。ちなみに今回はDNAの熱異性化反応による吸光度の時間変化をテストファイルとして使っています。詳しいことは割愛しますが、このグラフは、吸光度をy、時間をxとして

y=y_0+A*exp(-x/t)

というようなグラフになることが、理論的にわかっています。よってこのグラフでこの実験データを近似してみることにしましょう。

まず、プロットしたグラフ御選択し、メニューバーの分析から「Fit Wizard」を選びましょう。ちなみに有名な関数についてはそれ専用のメニューが用意されていますが、細かくパラメータを設定できないので、とりあえずここからFittingを始めればいいと思います。

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Fittingウィザードを開始すると、Pluginフォルダを選ぶダイアログが出ますが、そのままOKを押してOKです。すると下のようなダイアログが出てくるので、適切な関数型を選び、次へ行きましょう。

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すると、下のようなダイアログが出てきます。この画面で、関数のパラメーターの初期値などを任意に決めることができます。とりあえず最初なので、グラフの色を赤に変えて、Fitボタンを押してみましょう。

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すると、上の画面が出てきて関数の各パラメーターが変わり、Fittingが完了したことがわかります。後ろに見えているグラフを見る限り、うまくFittingに成功しているようです。Fittingが完了した後はこのダイアログは終了してしまっていいです。

ちなみにこのとき計算した関数のパラメーターは、グラフを右クリックして出てくるプロパティから確認することができます。

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Fittingがうまく行かないとき

今回はたまたまうまく行きましたが、複雑な関数になればなるほどFittingがうまく行かなくなる時があります。そういう時は、関数の各パラメーターの初期値を見なおしてみましょう。特に、関数の傾きや変曲率、形に関わってくるパラメーター(今回の場合はt)の値が実際の値から大きくずれていると、Fittingがうまく行きません。とりあえず桁があっていればほとんどの場合きちんと近似してくれるので、いろいろに桁をかえてプロットしてみるといいと思います。

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